top of page

英会話が得意な国と苦手な日本の英語教育の違い。

更新日:2 日前

なぜ日本人は英語を話すのが苦手なのか?

なぜ日本人は英語を話すのが苦手なのか

―海外生活10年で見えてきた、英語が話せる国との違いー


 私は約10年間、仕事で海外赴任をしていました。

 英語は苦手だったわけではなく、TOEICも800点を超えていたと記憶しています。世界的に見ればTOEIC800点台は、第二外国語として高い水準の英語力だと思います。それでも、実際に海外で仕事や生活をしていく中で、英語を話せないことで何度も挫折感を味わいました。


 その一方で、文法や発音が完璧ではなくても、英語圏の人たちと自然にコミュニケーションをとっている人たちも数多く見てきました。さらに、乳児・幼児・小学生の子どもたちを海外に帯同していたため、子どもが現地の生活や学校の中で自然に英語力を伸ばしていく姿も、間近で見てきました。


 こうした経験を通じて、私は次第に、英語を第二外国語として高いレベルで使いこなす国々や人々に強い関心を持つようになりました。本稿では、便宜上そうした国々を「バイリンガル先進国」と呼びます。

このコラムでは、私が「バイリンガル先進国」と捉える国々と日本の英語教育との違いを比較しながら、日本の子どもたちの教育に取り入れるべきポイントを考えていきたいと思います。


この記事でわかること

 私は、教育者でも言語学者でもありません。ただ、科学者として、現場で起きている現象をできるだけ正しく捉え、共通項を見出し、論理的に整理したいと考えています。英会話が得意な国と苦手な日本の英語教育の違いを次の3点から考えていきます。

・英語も母国語も、どちらも「言語」であり、習得のプロセスは本来よく似ていること

・英語を身につける時期は、できるだけ言語の吸収力が高い時期、つまり母国語を習得する時期に重ねたほうがよいこと

・英語習得で重要なのは、指導要領やカリキュラム以上に、「環境」であること


目次

1「バイリンガル先進国」の英語教育について

 1.1 第二言語として世界一の英語力をもつと言われているオランダ

 1.2 イマ―ジョン教育

 1.3 アジアでもバイリンガル先進国に変われた国 

2「日本の英語教育」が抱える問題

 2.1 全国学力テストの結果

 2.2 英文和訳や和文英訳の教育から抜けれない

3「日本の子どもたち」の英語教育に取り入れるべきこと

 3.1 バイリンガル先進国に学ぶこと

 3.2 日本にいても変われる環境がある



バイリンガル先進国の英語教育から見えてくること

 世界では、英語を第二外国語として高いレベルで使いこなす国々や人々が多くいます。その国の英語教育の内容について紹介していきます。


■第二言語として世界一の英語力をもつと言われているオランダ

 まず、非英語圏でありがなら非常に高い英語力を持つ国としてよく挙げられるのが、オランダです。英語の義務教育は、日本と同じく小学校から始まりますが、私が注目したのは、母国語を覚えるときと同じように、まず「聞く」「話す」から英語を身につけていくという点です。


 日本人が日本語の「聞く」「話す」を身につけるのは、小学校に入る前までの家庭や保育園での生活です。その時期に、日本語の教科書を使って日本語を教えている保育園を、私は知りません。子どもたちは、大人や友だちとのやり取りの中で、日本語を自然に聞き、話し、身につけていきます。


 英語も同じ「言語」である以上、最初の段階では、まず聞いて、話して、通じる経験を積むことが最も効果的なのではないか。私はオランダの教育を見て、そう感じました。実際、オランダの小学校では、英語の「聞く」「話す」の段階で教科書を使わず、英文法も後回しにしている場面が多く見られます。


 英語の教科書が必要になってくるのは、「読む」「書く」の段階からです。これも、日本語の習得をイメージすると分かりやすいと思います。5歳ごろになると、子どもはかなり会話ができるようになりますが、まだ日本語の音と文字は結びついていません。そこで、「あいうえお表」を見たり、文字をなぞったりしながら、自分の知っている音と文字を一致させていきます。英語でいえば、これはフォニックスに近い段階です。


 つまり、十分に聞いて話せる土台ができたあとで、文字を学ぶのが自然な流れです。この視点で見ると、日本の英語教育では、フォニックスや文字学習を入れるタイミングが全体として早すぎるようにも感じます。まずは「話せる」レベルまで英語の音や表現に触れ、そのあとで音と文字を結びつけていくほうが、母国語の習得に近い自然な英語習得になるのではないでしょうか。


■イマ―ジョン教育について

 また、オランダではイマ―ジョン教育の考え方も広く知られており、学校の授業の半分をイマ―ジョン教育にしているところも珍しくありません。


 イマ―ジョン教育とは、簡単にいえば、英語で算数や社会などの教科を学ぶ教育法です。つまり「英語を教える」のではなく、「英語で教える」のです。この違いは非常に大きいと私は思います。日本では、外国語を学習する場合、教科として「英語を教える」授業を行うことが一般的ですが、バイリンガル先進国の多くがこの教育法を取り入れています。

 オランダの隣国、ドイツや、北欧諸国でも、初等教育の段階から、口頭でのコミュニケーション力を重視する姿勢は共通しているように感じます。



■アジアでもバイリンガル先進国に変われた国

 バイリンガル先進国は、ヨーロッパだけではありません。アジアにも、フィリピン、シンガポール、マレーシアなど、英語を高いレベルで使いこなす国々があります。国際会議の場などでも、こうした国の人たちの英語力は本物だと感じることが多くありました。アジアの国々に共通している特徴は、学校教育の中で英語を標準化していったことです。


 その中でも、ここではフィリピンを例に挙げたいと思います。フィリピンには、アメリカ企業のコールセンター拠点が多く存在するほど、英語圏の人々に十分通用する英語力を持つ人材が多くいます。

 しかし、フィリピンの人々が昔から皆、英語を話していたわけではありません。今、社会の中心で活躍している30代、40代のバイリンガル世代でも、その親世代では英語を話せる人は少数です。つまり、家庭環境で英語が育ったわけではなく、またこの30年ほどで急激に英語が話せる世代が出てきたのです。


 では、どうやって?それは、保育園や小学校という学校生活の中を変えたのです。


 フィリピンでは、保育園や小学校の生活の中で、一日の約半分は英語環境に浸っています。授業中は英語で教科を学び、休み時間や友達とのコミュニケーションは母国語も使う。つまり、学校生活の中で、英語一色にするのではなく、英語と母国語がバランスよく混じった環境で成長していきます。

 またオランダと同じように、「聞く」「話す」段階で、教科として「英語を学ぶ」のではなく、学校生活の中で使いながら身につけていきます。その結果、小学校を卒業する頃には、「聞く→話す→読む→書く」という英語4技能を習得してしまいます。


 ここで改めて、日本人の日本語習得を思い浮かべてください。子どもが日本語を聞く、話す、読む、書くと成長していく中で、自分ひとりで日記を書いたり、文法を意識しながら文章を組み立てられるようになるのは小学2~3年生ごろです。

 そう考えると、フィリピン人の子どもたちは、小学校卒業のころには、英語圏の小学2~3年生くらいの英語を使えるようになっていると考えます。



日本の英語教育が抱える問題

では、日本の英語教育はどうでしょうか。


■全国学力テストの結果

 2023年度の全国学力テストの英語の結果は、私にとって非常に象徴的に見えました。中学生を対象とした結果では、「聞く」「読む」「書く」はおおむね50%前後の正答率だった一方で、「話す」は約12%と大きく落ち込みました。特に、自分の意見や理由を英語で伝える問題では正答率が4.2%にとどまり、深刻なのは、その設問が0点だった子どもが60%もいたことです。


 この結果から見えてくるのは、日本の子どもたちは英語を理解する訓練は受けていても、英語で自分の考えを組み立てて伝える訓練が圧倒的に不足している、ということです。


■英文和訳や和文英訳の教育から抜けれない

 日本の英語教育は、明治時代以来、欧米の文章を読んで理解することを重視する流れの中で発展してきました。もちろん近年は、会話力を高めようとする動きもありますが、今もなお、文法を学び、英文和訳や和文英訳を繰り返し、正しい構文を覚えることが中心になりがちです。

 

 例えば「as soon as」という表現を習うときに、「お母さんが部屋に入ってくるとすぐに私は部屋から出ました」といった例文を暗記し、主語だけ変えて繰り返すような学び方が行われています。こうした学習法は、試験対策や翻訳の訓練としては意味があるかもしれません。しかし、実際の会話はそのようには進みません。


 実際の会話では、「なぜそうしたの?」と言って次に会話が進む。「テストの点数が悪くて怒られると思ったから」とか「友達と遊ぶ約束があったから」といったように、自分の考えや理由を繋げながらやり取りが進んでいきます。

 バイリンガル先進国では、こうした会話としてつながる英語を、日常の中で身につけていきます。一方、日本の学び方は、1つの文を区切って覚えることに偏りやすく、その先にある「やり取り」や「展開」が弱いように思います。

 

 今回の学力テストで問われていたのも、まさにその力です。質問に対し、短い時間の中で自分の考えを英語でつなげて答える力です。しかし日本の学校教育ではその部分を十分に教えきていない。私はそこに、日本人が英語を話すのが苦手な大きな原因があると感じています。


「日本の子どもたち」の英語教育に取り入れるべきこと

 3.1 バイリンガル先進国に学ぶこと

 3.2 日本にいても変われる環境がある


日本の子どもたちの英語教育に取り入れるべきこと


■バイリンガル先進国に学ぶこと

 以上、バイリンガル先進国の英語教育を参考にしながら、多くの日本人が英会話を苦手にしている原因を考えてきました。私が共通点として挙げたいのは、次の3つです。


・幼児期から、母国語習得に近い流れで英語習得を進めること

・学校生活の中で、半分の時間を英語漬けの環境にすること

・「英語を学ぶ」のではなく「英語で学ぶ」環境をつくること


 こうした考え方を取り入れることで、母国語をしっかり育てながら、世界に通じる英会話力も身につけていくことができるのではないでしょうか。


■日本にいても変われる環境がある

 もちろん、「日本の義務教育の中で英語環境を半分にするのは現実的ではない」と感じる方も多いと思います。それは確かに簡単なことではありません。

 しかし、だからといって何もできないわけではありません。たとえば、義務教育前の未就学の時期に英語環境を意識的に取り入れること。あるいは、小学校の放課後の時間を英語で過ごす場に変えていくこと。そうした工夫によって、バイリンガル先進国と同等の英語教育の時間と質に変えることは可能です。


 子どもの英語教育について、私たち親世代にできることは、まだまだたくさんある。私はそう考えています。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

​​本コラムへのご意見や子育て中の悩み事などがありましたら、以下から頂戴できればと思います。



保育・教育コラム | 著者について


山寄 一徳(やまよせ かずのり)

・子育て支援事業「Weskii Lab」代表

・いしかわ保育・教育アドバイザー


現在、インタナショナル保育園、インターナショナルアフタースクール、放課後学童を運営しています。

また約10年間、ヨーロッパ諸国やアメリカシリコンバレーに海外赴任し、さまざまな育児・教育制度のもとで、幼児期から小学生期までの子育てを経験してきました。

そうした実体験をもとに、「仕事と子育ての両立」や「AI時代の保育・教育」といったテーマについて、さまざまな視点から自身の想いや考えをコラムとして発信します。子育て世代の皆さまにとって少しでも参考になる情報をお届けできれば幸いです。


さらに、セミナーや講演会などを通じた社会貢献活動にも取り組んでおりますので、お気軽にお声かけください。


金沢・富山のインターナショナル保育園・英語放課後学童のWeskii Lab|ウェスキーラボ

アミティー

​ここにある安心、ここにしかない信頼。
地域No.1の子育て支援ブランド、ウェスキーラボ!

■ 金沢本校

〒920-0902 石川県金沢市尾張町1-2-32 Weskiiビル2階

■ 金沢駅西校

〒920-0043 石川県金沢市長田2-26-11

■ 金沢泉野校

〒921-8034 石川県金沢市泉野町4丁目13-33 泉野ビル2階

■ 富山校
〒930-0887 富山県富山市五福5897-1
​​

TEL : 0120-815-189
Email: lab-info@weskii.com

  • Facebook
  • Instagram

運営会社はこちら

Lesson 4U バートロ

©2024 Weskii株式会社 All rights reserved.

bottom of page