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小1の壁って?どう乗り切る?

更新日:6 日前

保育・教育コラム | Yamayose's eye

 いしかわ保育・教育アドバイザーであり、Weskii Lab代表を務める山寄(やまよせ)が、​「仕事と子育ての両立」や「AI時代の保育・教育」といったテーマについて、さまざまな視点から自身の想いや考えをコラムとして発信します。

 また、山寄自身も約10年間、ヨーロッパ諸国やアメリカシリコンバレーに海外赴任し、さまざまな育児・教育制度のもとで、幼児期から小学生期までの子育てを経験してきました。そうした実体験から得た知見も交えながら、子育て世代の皆さまにとって少しでも参考になる情報をお届けできれば幸いです。

 さらに、セミナーや講演会などを通じた社会貢献活動にも取り組んでおりますので、お気軽にお声かけください。


【ここから本文です】

小1の壁って?どう乗り切る?


 「小1の壁」とは、子どもが保育園や幼稚園から小学校へ進学するタイミングで、保護者、特に共働き家庭において、仕事と子育ての両立が急に難しくなる問題を指します。子どもの成長にとっては喜ばしい節目である一方、家庭にとっては、それまで成り立っていた生活のリズムが大きく揺らぐ転機でもあります。保育園時代には当たり前のように受けられていた支援が、小学校入学を境に急に細くなる。この急激な変化こそが「壁」と呼ばれる理由です。


 この「小1の壁」には、主に以下の3つの要素が複雑に絡み合っています。

・保育園と小学校のギャップ

・マミーギルト(母親の罪悪感)

・働き方の見直し

本コラムでは、これら3つの視点から「小1の壁」の実態を詳しく解説していきます。



保育園と小学校のギャップ

 保育園時代は、朝早くから夕方遅くまで預かりがあり、延長保育も整っています。親がフルタイムで働くことを前提に、一定の生活インフラが用意されているといえます。ところが小学校に入ると、子どもは午後2時から3時頃には下校し、さらに春休みや夏休みといった長期休暇もあります。親の就労時間と子どもの生活時間、この二つが小学校に入って初めて大きくずれてしまうのです。これが、「小1の壁」の最も基本的な構造です。


 放課後学童があるから大丈夫、と思われがちですが、実際はそう単純ではありません。学童には定員不足や地域差があり、小学1年生であっても必要な点数を満たせず入れない場合があります。たとえ入れたとしても、預かり時間、立地、送迎の有無、長期休暇中の対応、習い事との両立など、多様化した現代社会においてそれぞれの家庭にとって十分な状況ではありません。「学童に入れれば解決する」と言い切れない現実があります。


 加えて、保育園時代は園側が日々の生活を丁寧に支えてくれていたのに対し、小学校では「自分で支度する」「自分で時間を守る」ことが前提になります。しかし、小学1年生はまだ6歳の子どもです。新しい小学校の環境に慣れるだけでも精一杯の時期に、宿題、持ち物、下校時刻、連絡事項の確認など、親が管理すべきことは一気に増えます。子どもの自立を求められながら、実際にはまだ多くの支えが必要である。このギャップが、家庭に大きな負担をもたらします。



マミーギルトについて

 「マミーギルト(mommy guilt)」は、見えにくいけれど深刻な問題としてとらえる必要があります。これは、母親が子育てをする中で抱く“罪悪感”のことで、特に仕事と子育ての両立の中で抱えやすい感情です。子どもに対しては、「仕事で十分にかまってあげられない」「疲れてついイライラしてしまう」「もっと多くの経験や教育の機会を与えたいのにサポート時間が足りない」「宿題や持ち物まできちんと見てあげられない」といった後ろめたさを感じる。さらに職場に対しても、「子どものことで仕事に集中できず効率が落ちる」「急な休みや早退で周囲に迷惑をかけている」と、自分を責めてしまう。つまり、家庭に対しても職場に対しても、“申し訳なさ”を抱え続けるのです。


 本来、「小1の壁」は社会インフラや働き方の仕組みの問題です。にもかかわらず、その負担が母親個人の責任として内面化されやすいことに、この問題の根深さがあります。そしてこの罪悪感は、単なる気持ちの問題にとどまりません。「子どもが小さいうちは仕方ない」と昇進を諦めたり、正社員からパートへ切り替えたり、自分の社会人としての挑戦そのものを抑えてしまったりする。そこには時間的制約だけでなく、母親としての責任感と罪悪感が複雑に絡み合っています。父親より母親にその圧力が偏りやすいという点で、「小1の壁」はジェンダー課題としての側面も持っています。


 また、「小1の壁」は子ども自身にも影響を及ぼします。新しい学校生活に慣れるだけでも大きな負担なのに、放課後の居場所に不満や不安があったり、親が忙しく十分に向き合ってもらえなかったり、宿題や翌日の準備が子ども任せになったり、習い事や送迎が複雑で疲れるといった状況が重なると、子どものストレスは非常に大きくなります。小学校入学は本来、自立への第一歩であるはずです。しかしその移行期に無理が重なると、子どもにとっても、保護者にとっても、苦しいスタートになってしまいます。



働き方の見直し

 「小1の壁」の問題が深刻なのは、単なる「預け先不足」ではなく、仕事と子育ての前提条件そのものが噛み合わなくなる点にあります。会社は、毎日決まった時間に働けること、急な変更なく予定どおりに動けることを前提に成り立っています。一方で、小学校生活には、行事、面談、保護者会、発熱や体調不良、学級閉鎖、短縮授業、午前下校など、多くの変動要素があります。そのたびに親は仕事の調整を迫られ、時短勤務への変更、残業の断念、出張の制限、昇進機会の見送り、さらには離職まで検討せざるを得なくなることがあります。


 総務省の労働力調査「年代別就業率と正規雇用比率」によると、女性は就業率と正規雇用比率のどちらも20代後半がピークで、その後30代から40代にかけて、就業率に大きな変化がない一方で、正規雇用比率だけが半減しています。また、一度正規雇用から離れると戻ってこない傾向がみられます。「小1の壁」が、母親の働き方に影響を及ぼしていることが、統計データからも裏付けられていることがわかります。


 さらに、「小1の壁」は個人や家庭の工夫だけで乗り越えられる問題ではありません。祖父母の支援を受けられる家庭とそうでない家庭、職場に柔軟性がある家庭とない家庭、地域に学童や送迎サービスが充実している家庭とそうでない家庭とでは、負担の大きさが大きく異なります。つまり、「小1の壁」とは、家庭ごとの頑張りの差ではなく、社会インフラの不足や制度設計のズレによって生じる社会全体で解決すべき構造的課題なのです。



まとめ

 「小1の壁」とは、単なる放課後学童の量と質の不足の問題ではありません。子どもの小学校入学という成長の節目に、家庭・学校・職場の時間設計が噛み合わなくなり、そのしわ寄せが家庭、とりわけ母親に集中してしまう現象です。そしてその背景には、見えにくい感情的負担として、マミーギルトが深く横たわっています。

これは単なる家庭の悩みではなく、少子化対策、女性活躍、地域福祉、教育機会の公平性にも関わる、社会全体で向き合うべき重要な課題です。学校、学童、民間サービス、地域交通、企業の働き方改革が連携して初めて、保護者は安心して働くことができ、子どももまた、安全で豊かな放課後を過ごすことができます。


 だからこそ、「小1の壁」に悩む保護者の皆さんには、どうか一人で抱え込まないでほしいと思います。困っているのは、あなたの頑張りが足りないからではありません。社会の仕組みが、まだ子育てと仕事の両立に十分追いついていないだけです。家庭の中だけで解決しようとせず、放課後学童、地域、職場、周囲の人たちに相談し、頼り、使える支援は遠慮なく使ってください。

 そして、このコラムの内容などを有効に引用し社会へ発信して、「親が無理をして乗り越える」のではなく、「安心して子どもを育てながら働ける仕組み」を求め続けてください。「小1の壁」は、親が耐えるべき壁ではなく、社会みんなで低くしていくべき壁なのです。


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